着物保管の流れを解説!

着物にシミや汚れがないかチェック

着物を脱いだら、保管する前に着物にシミや汚れが付いていないかのチェックしておきます。わずかなシミや汚れでも長期保存しているうちに、黄ばんで生地が傷み、虫食いの原因になるので、シミと汚れはぬれタオルで軽くたたいて取り除いてください。

※長期保存する前にはクリーニングを※
次のシーズンまで着ないという長期保管の前には、着物専用のクリーニングに出しましょう。口紅ほか油分のものや合成化学成分の汚れは、専門家にお任せした方が安心です。

陰干しをしてから着物を畳む

一度でも着た着物は、汗などの水分を含んでいるので脱いですぐに畳み保管すると、黄ばみ、カビ、虫くいの原因になります。畳みジワも付くことになりますから、着物を保管する前には「陰干し」をしましょう

  • 1)着物用か、なければ洋服のハンガーにかけて形を整える。
  • 2)直射日光が当たらない外か、屋内なら窓をあけ換気して干す。
  • 3)半日から一日ほど干す。

着物は畳み、たとう紙に包む

陰干したら、着物を畳んで「たとう紙」に包みましょう。たとうし紙とは、着物を保管するための紙のこと。紙が湿気を吸収し、保管中にカビ等が生えるのを防ぎます。さらにシワになりにくく、重ねて保管する時も摩擦を防いでくれます。
たとう紙は、呉服屋さんほか通販や100円ショップでも購入できますから、用意しておきます。

着物を保管する

絹の着物は、湿気があると劣化しやすくなります。特に現代の日本の家はマンションも多く、昔に比べて風通しも悪くなっています。保管場所と方法を選んで保管しましょう。

1)保管場所は高温多湿の部屋を避ける
バス・トイレに隣接したクローゼットや押し入れは避けましょう。また南向きや西向きの直射日光が入って高温になる部屋も避けた方が無難です。

2)桐ダンスか衣装ケースで保管
たとう紙に包んだ着物は、桐ダンスか桐の衣装ケースに保管するのが理想的です。天然の桐は通気性が高く、防虫効果もあるというメリットがあります。

3)普通の衣装ケースには防虫剤を
桐でできた衣装ケースや、普通の衣装ケースでも着物は保管できます。インテリアショップでなどで、クローゼットに入るサイズの桐の着物保管用ケースを販売しています。その際には防虫剤を忘れずに。

桐ダンスは必要? 着物収納用品について

着物は、桐タンスに保管するのが理想的です。桐は通気性が高く、その香りは虫よけの効果もあり、着物の折りたたんだサイズに合っていて出し入れがしやすいというメリットがあります。

桐ダンスが着物保管に最適な理由とは?

では、なぜ桐ダンスが着物の保管に最適なのでしょうか。桐は、湿度が高くなると水分を吸収し、湿度が低くなると水分を出す性質があります。このため着物が湿気るのを防いで、カビの発生を予防できます。また、桐はその香りが虫をよせつけなく、燃えにくい性質もあるからなのです。

桐ダンスでなくても良い? 多様な保管方法

でも、最近の住宅事情から、桐ダンスを家に置くことは少なくなってきています。そこでおすすめなのが、小型の桐の衣装ケースで押入れやクローゼットに収納できるもの。サイズも着物を畳んで最後に三つ折りにするとちょうど納まるサイズで、袷の着物が5枚くらい納まります。

また不織布製やプラスチック製の衣装ケースや、和装小物なら木製やラタンなど雑貨としても使うバスケットなどを使って上手に保存できます。

着物保管で気を付けたいこと4選

日本は高温多湿の気候なので、カビや虫から大切な着物を守るために特に気を付けたいことがありますので、これからこの点を解説していきます。

①一年に1~3回は虫干しをする

着物を湿気から守る方法が「虫干し」です。「虫干し」とは着物が吸収した水分やカビ、ホコリ、折ジワを取るため、風通しのよい場所で年に最低1回、理想は3回ぐらい干す作業のことです。

  • 虫干しに最適な時期はこの時期!
  • ●7~8月の土用干し
  • ●10~11月の秋干し
  • ●1~2月の寒干し

2~3日晴れが続いた後の天気のよい日に、10時から14時頃までの間に干します。普段使っているハンガーに干しても大丈夫です。注意したいのが直射日光の当たらない風通しのよい場所に干すこと。干す時間は、2~3時間程度です。

②防虫剤&除湿剤は選び方と使い方に注意

着物を保管するケースには、防虫剤と除湿剤を入れることをおすすめします。注意点は1種類の防虫剤や除湿剤を使うこと。防虫剤と乾燥剤は混ざると化学変化を起こし、傷みや変色の原因になります。

除湿剤や乾燥剤は、100%シリカゲルのものを選ぶこと。乾燥際のシリカゲルは、防虫剤と一緒に使っても化学反応を起こすことが無いとされていますので、おすすめです。

着物に触れないように置くこと。防虫剤や乾燥剤は、着物や帯にあたらないように、タンスや衣裳箱の隅に入れましょう。金糸や銀糸を使った着物は特に、防虫剤に注意が必要です。

③着物は絹とウールとわけて保存する

保管する時は、ウールの着物と絹の着物は一緒にしないということも気を付けたい点です。例えばウールは虫が大好きな素材なので虫食いが起こりやすく、正絹と混ざって収納していると、正絹の着物にも虫がつく可能性があります。
さらに、クローゼットにウールのニットやコートがある場合には、必ず桐や不織布、プラスチックのケースに入れて、分けて収納しましょう。

④ぎゅうぎゅうに重ねて収納しない

着物の収納場所がなく、ぎゅうぎゅうに重ねて保管しているという方も多いですね。でも着物にとっては湿気のない環境を作ってあげることが重要です。できれば、絹以外の小物や浴衣や化繊の着物は、乾燥材を入れたケースに入れ別の場所で保管すれば、空いたスペースで着物を収納できます。

分けた方がいい?着物小物の保管の仕方!

着物には、帯や草履のほか、帯揚げや帯締め、帯板、腰紐、帯枕、留め金、襟芯といった様々な小物があります。ごちゃごちゃしがちな小物類は、種類ごとに分けて収納するとよいでしょう。
小物の保管も桐ダンスが理想的ですが、自然素材のバスケットを使用しても大丈夫。忘れずに防湿剤や防虫剤入れて保管するようにしましょう。

また小物を収納する専門袋、和小物プロガードもおすすめです。こちらは草履や帯揚げ・帯締めなどを保管するための用品で、チャックで閉じるだけで「カビ・虫食い・紫外線」から守ることができます。

着物の小物別保管のコツ

・帯
折ジワがつかないようにたたみ、帯揚げや帯締めと一緒に収納しましょう。帯を畳んだ山の内側に、サランラップの芯など棒状のものを挟むと、帯の折りジワを防ぐことができます。

・草履
使った後は、しばらく新聞紙などを乗せ湿気を取り除きます。保管の際にビニール袋に入れるのはNGです。湿気がこもってしまうので、袋から出して保管しましょう。

・帯締めと帯揚げ
吸った汗の水分を取り、アイロンはかけずに畳んで保管します。帯揚げの房も揃えて紙で巻いて帯と一緒にしておくと便利です。

・着付け小物
紐や帯枕、芯、帯板はきちんとまとめて、小さなケースや和装小物専用の袋にバラバラにならないよう収納しておけば安心です。

まとめ

着物の保管方法について、全体の流れから保管で気を付けたいポイントまでご紹介してきましたがいかがでしたか?
正しい保管方法で、長く着物を着られるように出来ると良いですね。

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